我が子達が通ったのは地方の公立高校ですが、
保護者の「東大対策には、どの程度塾を利用するべきですか?」という質問に、
英国数は、学校の授業だけでOK、理系の理科については、適宜塾を利用してください
と言い切った学校(→)
地方でも、トップ校になると、このくらいのプライド持ってるんだ~、
と驚くとともに、
正直…にわかには信じがたいわけです
が、
学校の保護者会で、駿台お茶の水校の校舎長をされたことのある方が来られて、講演をされたときのことです。
我が校の進路指導の先生が、 前座みたいに(表現がとっても失礼でごめんなさい)、今からどんな勉強をしたらこう伸びるという話を、過去の生徒さんのデータをもとに、軽めにお話をされました。
それを受けて、駿台お茶の水校の方が、
「ここまでの話が完璧すぎて、後に続くのが難しい。毎年思うが、高校の先生って、こんなに進路指導の研究をされているんですね」
と、絶賛されたのです。
それを、保護者の前でわざわざ言うという、なかなかの策士ね
教師ではないけれど、東大のすぐそばの塾にいらして、東大の進路指導一筋の駿台の方、
地方だけど、教師として一番近くで生徒を見て、生徒に合った進路指導をされる先生。
東大受験指導においては、なんとなく…駿台の人の方が上かと思っていましたが、
いえいえ、我が校の進路指導の先生も、実際に教えているだけに、実際に大学の入試問題を解いているだけに、相当プロでした。
はい、そうですね、どちらもプロ中のプロでした。
息子曰く、大学入試の英語と数学については、どこから質問されても、どんな質問をされても必ず答えてくれる先生方らしいです。
(国語は、質問に行っていない…)
授業が終わると、教卓の先生に向かって質問の列ができることもあるそうですし。
そんな、高校の先生方が分析される東大英語については、とても興味深いものがありました。
東大の英語
東大の英語についての解説や感想の細かいことは、あちこちのサイトに載っていますし、ワタシも語れないので、本人にしっかり理解してもらうとして、
ここでは、
親として知っておいた方がいいと感じたことだけ書きたいと思います。
その前に…東大英語とは。
東大英語
2次試験の440点満点のうちの120点。合格者のボーダーは70~75点。成績上位一割程度(100点程度と言われています)はTLPというプログラムに参加することができる。
東大合格者に対し入試の成績が反映された待遇が入学後に準備されているのは、このTLPだけです。ちなみに息子の東大入試での英語は71点でした。
最近の東京大学は、従来の研究一辺倒ではなく、教育機関としての役割に関しても大変意識的に取り組んでいて、
その前提となる入試のあり方も、以前とは比べられないくらい明確に意図を表すものになったそうです。
それは、推薦入試のような枠組みだけではなく、入試問題にも表れているのだそう。
東大英語は大学入試の中でも、にわか対策をしにくい試験 と言われています。
例えば、英検なら単語を覚えさえすればスコアは比較的簡単に上がります。
京大入試については、和訳と英訳で減点されない答案を書く練習をしたら点数は確実に上向きになるという人もいます。
それに対し、
東大の英語の入試問題は 形式が多岐にわたり、そして毎年のように変化するため、
ここを重点的にやれば点数が上がるという対策はないのだそうです。
具体的には、
(原文のまま)
- そもそもこれだけ多岐にわたる問題を出す大学は例を見ない
- 解答の制限語数の微調整を繰り返す
- 全体の語数が多くなりすぎたり少なくなりすぎたりしないよう、絶えずバランスをとっている
- 難易度に関しても、たえず全体のバランスを考えながら調整している
- 設問の問いかけ方すら微調整を繰り返している
- 受験産業の安易な「対策」を拒絶するような設問を出題している
- にもかかわらず、前年の入試で出来が悪かったものは必ず少し形を変えて翌年もしつこく問題にしてくる
これ、箇条書きになっていますが、全然箇条書きじゃないですね。原文ままですのでね、悪しからずご了承くださいませ。
多岐にわたり、常に調整されていることを、具体的に問題別にも説明されまして…
〈1A 要約問題〉推定配点 10~12点
300語程度の抽象的な評論文を80語程度の日本語に要約。少なくとも40年以上ずっと出題されている東大入試の象徴。問題文の抽象性・解答の制限時数の少なさで際立つ。ここ5年ほどで著しく難化していたが、昨年一昨年は易化傾向に。
〈1B 段落整序・文補充〉推定配点 10~15点
500-600語程度の長文。そのなかにいくつか文や段落がまるごと欠落。欠落部分を選択肢の中から選ぶ。かつては段落を補うものが主流でしかも文の組み合わせはパズルのようでもあり、指導者からは、1Bは抜かせ と言われていた。ここ数年は 1A とのバランスをとるために易化と難化を繰り返す。ちゃんと取り組めばだれでも満点が取れる年もでてきた。
〈2A,2B 自由英作文〉→ 〈自由英作文 和文英訳〉推定配点 16~20点
ここは、ずっと自由英作文 二問 だったのですが、なんと息子の年から突然、一問は和文英訳になりました。これもバランス調整でしょうか…
自由英作文は、
- 二人の議論を英語で要約
- 4コマ漫画のストーリーを説明
- 抽象的なお題について(例 東大のキャンパスについて気づいたこと、とか、祝日の提案)を説明
- 一枚の写真に写っている登場人物の会話を書く
- 友人にあてたメールの文面の中の、欠落している段落を補う
をほぼローテーションで出題
息子の1学年上の、現役合格した先輩は、「キャンパスで気づいたこと」という問題に対し
「机が古くて細かい傷がたくさんあり、答案を書くときにイライラした。このような場所で入学試験をするべきではない。」
と書いたそう。
ウける!
〈3 リスニング〉推定配点 30点
120分の試験ですが、間に30分のリスニングが入ります。45分筆記 → 30分リスニング → 45分筆記という具合。
A~Cのセクションに分かれ、ラジオ番組・ニュースに関する2人の議論、A,Bとは全く別の評論
分量は多いが、易しい。平均点は高い。点差も開きにくい。これだけに特化した対策は不要。(息子のリスニング対策)
〈4A 文法〉推定配点 10点
整序英作文・不要語選択・正誤問題
巷の文法問題集などに必ず記載されているような頻出問題は出ない。なぜこんな問題を出題するのかと思うような問題が例年並ぶ。純粋に英語力の蓄積を問われている。
〈4B 下線部和訳〉推定配点12~15点
昔からよくある和訳問題。比較的簡単だが、訳しにくい単語や難単語が含まれていて、そこをどう訳すかを問われている。つまり、国語力も問われている。
〈5 小説総合問題〉推定配点 25~35点
センター試験よりやや難度の高い小説文。記述・選択肢の両方。内容は文法力~心情に迫るものまで様々なものが並ぶ。そんなに難しくないのに、ここで点差が開く。これはつまり、ここまでで時間が無くなるから。これを解かないのはもったいない。
これだけ説明してもらうと、東大を受けたことのないワタシでも、どんな英語力を問われているかがうっすら見えてきます。
難易度はそう高いわけではないけれど、単語・文法・リスニングから読解力まで問われるので、
まんべんなく英語を勉強しておく必要があり、英語だけではなく、
しかも国語力も問われるということですね。
そして、大学側は、毎年バランスを取るように、受験産業に対策されないように微調整もしている。
これはもはや、英語教育を、学校に投げっぱなしにはできない、
逆に言えば、小さい時から英語に触れさせておけばそんなに難しい問題ではない
ということでもあります。
このことを知った時、
ワタシはこれまで、子どもたちに、
東大の問題を、我が子が苦手に思わないで解くために、英語に触れさせてきたんだな、
と感じました。
なんだか、自分の子育ての一つの課題において、合格点をもらったような気がしました。
東大、いい大学かも☆(当時合格してもいなかったのに、わかってもいないのに失礼なワタシ)
ちなみに、東大はセンター試験のリスニングを換算しません。
また、2021年度からの共通テストの英語の採否について揺れていた時も、一番前に立って疑義を唱え、合否に加えないという表明をしていました。
これも、東大の英語教育のポリシーの表れなのでしょうね。
目標も想定もぼやけたまま、英語に触れさせてきた我が家の子育てでしたが、
一つの目標が、この、東大英語の入試問題だったことをこの時に確認できました。
東大英語がそんなに難問ではない、オールマイティに英語力を問われる問題であることは、
英語が得意でも不得意でもない息子にとって好都合!
あとは、にたろうくん、あなた次第だよ。
先生方、よろしくお願いします!
娘の成長の記録は、時計通りに綴っています。どうぞ いちひめ もご覧ください。
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