東京大学の池谷裕二先生の講演会で学んだこと【その1】 | feel my force

東大を宣伝される

子育て

きっと、多くの学校で行われていると思うのですが、

我が子が通った高校でも、母校の卒業生の方だけでなく、学校の招へいで ”時の人” が来られて、

定期的に、生徒向けの講演会がありました。

 

その中のお一人に、東大教授である、池谷裕二先生がいらっしゃいました。

 

ワタシが池谷先生のことを知ったのは、2010年ごろ。

30代で東大准教授になられた若き精鋭であること、そのうち、教育関係の雑誌などのコラムで拝見するようになって、あっという間にメジャーになり、今やあちこちのメディアで見かけるようになりました。

   

池谷裕二先生

1970年生まれ

1989年東京大学理科一類入学

1998年 東京大学にて薬学博士号取得、現在は東京大学大学院薬学系研究科教授 専門分野は大脳生理学

     

脳科学についての著書もたくさんありますし、お子様がまだそんなに大きくないのか、ご自身の子育てについての著書もあります。わかりやすいので、ワタシも読ませていただいています。

  

こんな有名な方が、こんな地方に わざわざ高校へ来られて生徒の前でお話をしてくださるなんて、ラッキーなことだよ。

と、当時息子にも言ったっけ。

  

その、池谷先生が、

高校の講演会の冒頭でおっしゃったのが、

「東京大学の宣伝をさせてもらいます

でした。

 

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東大生になれる確率は高い

ワタシのかたい頭で考えて、東大の教授といえば、

  • いばっている
  • プライド高そう
  • 難しい研究をしていそう
  • お話の内容が難しそう
  • ……

っていうイメージでして、

いえ、難しい研究はなさっているでしょうけど、、、

    

そんなイメージの東大教授、池谷先生の第一声はこんな内容でした。

 

私は県内トップ校の出身ではありません。トップ校といえば、どこの都道府県でも輝いていて、何をやってもかなわないような感じがありました。規模も大きく、卒業生の進学先もすごくて、あこがれもありました。ですから、今日この校内に入ってすごく感激しています。

こういう機会を与えてもらって、とてもうれしく思います。

 

え⁉ すごい。これを真っ先に言える人って「実るほど頭が下がる稲穂かな」をそのまま歩んでいる人、

いえ、まだお若くて花盛りなのにめっちゃ謙虚! もうこれが言えるほど人間ができている人なんだ!

 

(でも高校時代は、きっとそれをバネに頑張られたのでしょうね)

      

次は、生徒さんに向けて、簡単な質問を。

この中で、東大に行きたい人いますか?手を挙げて。

5人くらい?みんな行きたくないのか(笑)、手を挙げにくい雰囲気もあったかな。あのね、東大生ってそんなに珍しくないって話をしたいんです。

     

というやりとりの後で、東大生の人数のお話に…

 

18歳年齢の高校生で、何人中何人が東大生だと思いますか?こういうこと、考えたことがあるかな?

200人に一人東大生なんです。

だから、もしサイコロを振ってくじ引きでどこかの大学へ行くのなら、東大に入る確率が一番高いんです。

会場内がどっと笑いますよね。

トークが上手い!

つかみも上手い!

(センター試験を受験する人数は約60万人弱、東大の一学年の定員は約3000人です)

 

東大生は恵まれている

次に、お話されたのが、こちら。

     

なぜ、さっき東大生になりたいですか、とたずねたかというと、

東大生は恵まれているから

です。

東大生になると、周りには同じ東大生がいます。東大生って、意外と外に出てから出世する人が多いんです。会社に入ったり政治家になったりとか。そういう友達がいるのは、いろいろな意味で人生において優位に働くことがあるんです。

だから、自分が出世しなくても、まぁいい っていうのもありますよね。

ここでまた、会場を笑いの渦に巻き込んで(本当にトークがうまい!)、

他にも恵まれている点を挙げられました。

 

もちろんそれだけではなくて、優秀な先生方、世界的権威のような先生方に直接習うことができるし、

一番重要なのは、

東大生にかけている教育費がものすごいんです、ほかの大学と比べて桁違いなんです

国立大学って、一緒じゃないの? 一緒なのは授業料か…

国が東大に出しているお金、ってことか。

なんとなく想像はできますけど、実際どうなのかは全く考えたこともありませんでした。  

   

東大生一人当たり、1年間にいくら教育費がかかっているか知っていますか?

授業料は50万円くらいです。

でも、1年間一人あたりの教育費に1000万円かかっているんです。

これは本当の話です。もっと厳密に言うと、1000万円以上かかっています。

理系の場合は、博士課程までいって博士号をとる人も多いです。つまり大学に10年くらいいるんですけど、この人たちは

卒業までに、一人一億円かかっているんです

こういう表現をされると、親としても東大に行かせたくなりますね…

    

つまり、東大で博士号を取ると、それは1億円もうかった感じになるんです。

これは、他の京都大学など(の旧帝)と比べても、けた違いに多いです。だから、同じ学費を払って大学に行くのなら、ぜひ自分を切磋琢磨することを第一にして目指してもらいたいと思っています。

ここまでが ”東大の宣伝”でした。

 

お話が難しいどころか、誰にでもわかる、しかも楽しくてつい笑ってしまう軽快なトーク。

高校生にもわかりやすい数字を使い、

でも、お金のことを 気にしたことがない 気にしなくていい立場の高校生にも少しはお金のことを意識させるきっかけにもなる、

聴衆は、冒頭からぐいっと心を引きつけられたと思います。

     

誤解のないように、不肖ワタクシがつけ加えさせていただきますともちろん、東大生になっても、一年間一人ずつに1000万円の支給があるわけではありません。

人件費、維持費、設備費、研究費…規模の大きい大学ですから、かかるお金の規模も大きくなりますし、つぎ込まれるお金で高価な機材を導入しても、それは一部の先生や学生さんが恩恵を被るだけ、とか、高価な機材ほど価格競争がないので、びっくりするほど高価な割には、十分利用されることなく使えなくなったものもきっとたくさんあるでしょう。

 

なんていう、大人の事情は置いておくとして、誰もが東大を目指したくなるようなお話でした。

 

国立大医学部も

学生さんに、たくさんお金がかかっているといえば、医学部。

 

これも、実際に娘を国立大の医学部へ進学させて初めて知ったことなんですが、

国立大学って、すべての国立大学生の授業料が一律で、年間50万円あまりなんですね。

文系も理系も、学部も関係なく。

 

一般的に、私立大学の医学部に行かせると、年間の授業料が約500万円(大学によって差はあります)、

ここには先ほどの東大の例でいう、国などの外部からの交付金や補助金が入っていませんので、それもプラスすると

国立大学医学部生にも、年間一人500万円以上のお金が教育費としてつぎこまれている

ことが容易に想像できます。

これが6年間です。

 

(でも、社会保障費なんて、高額医療を受けたら、一人あたり年間で1000万超でも普通につぎ込んでるじゃん…というつっこみは、とりあえず今はなしで)

 

1000万円の分を…

正直、子どもが大学生になるまでは、大学に進学させることだけを考えていたので、どの大学が、どの分野がお得?というより、将来本人が幸せに生きる道の一つとして、どこがいいかしか考えていませんでした。 

 

向いている分野で、偏差値の高い大学の方がよさそう…

 

お金のことも、目いっぱい出すとしたらこれが上限、ということは考えていても、すごくざっくりで、

まぁ、なんとかなる、なんとかする

が先に立って思考停止するし、

追いつめられてくると、お金を出せば成績が上がるかもという妄想にとりつかれて、余計に課金してしまうし…

     

(ワタシが食品を買う際に、こっちとこっち、どちらがどう?と必ず考えるのに、)

大学選びとなると、どっち?の選択肢がとてもあいまいでした。

考えることを後回しにして、とにかく、目の前の大学受験のことしか見えていませんでした。

 

でも、それを経た今、どう思うかといいますと、

    

そんなに優遇されているなら、

東大も東大生も、もっと頑張りなよ、

    

ってことです。

一主婦のつぶやきなので、 ひかえめに 太字にも大きめ文字にもしませんが…

    

よく言われるノーベル賞受賞者に東大の学部出身者が少ないこと、特に東大医学部からはゼロということだけでなく、

(東大新聞などを読んでいると)業績を挙げているのは一部の先生だけだったり、

世界からの大学評価も下がってきていたり、、、

 

これはまるで、池谷先生が地方のトップ校ではない高校から東大へ進学され、それをバネに他の多くのトップ校出身者より頑張られたように、

東大以外の大学が、東大はえぬきの先生より頑張った結果なのかもしれませんが、

 

東大の先生、もっと頑張ってよ。。。

 

また、 

最近の話題ですと、懲戒解雇された、自称”東大最年少准教授”だった先生は、地方の高等専門学校卒業・筑波大学へ編入~修士課程を経て、東京大学博士課程に入学されて博士号を取った方でして、

この履歴を拝見する限り、東大受験どころか、センター試験も受けていらっしゃいません。

こういう方が東大特任准教授になれるほど、准教授のポストが簡単にとれる大学なの?

(注 もっともこの方は、お金を出せば講座を持つことができる寄付講座の先生ですが、そんなの一見わかりませんし、寄付講座を知らない人から見れば、同じ東大准教授…)

当初は、人材として優れていると判断されたからでしょうけど、、、、うーん。

    

この方のことを云々、というより、

東大大丈夫?

って思ってしまいます。

 

修士や博士から東大に進むことができる道があるのは、ありがたいことです。

実際、毎年東大の大学院に4000人あまりの人が入学するのですが、東大の学部で卒業する方もたくさんいらっしゃいますので、東大の大学院生の半分近くは東大出身者ではないことになり、、、

 

多くの人が恵まれた環境で研究できるのは素晴らしいことだと思います、よ。

 

でも逆に言えば、

東大生頑張れよ

ってことでもあるわけで。

 

それは東大に限らず、

京大頑張れよ、であり、難関大学頑張れよ、大学生頑張れよ…

なんですよね~。

 

せっかくここまで(親や自治体や国からたくさんつぎこまれて)成長したんだから、

同年代で、もう働いている人もいるのだから、

 

大学合格をゴールとせず、

1000万円の価値のある学びをして、

さらなる高みを目指して欲しいなと、切に願います。

 

お金のことが多い記事になってしまったので、ついでに書いちゃうと、

最近のノーベル賞受賞者の先生が必ず言われることの一つが、

研究費を増やしてほしい

ということ。

これでも全然足りていないってことなのね…

 

大変な世界…。

   

東大に行かせたい、行ってからも頑張ってもらいたい、社会に貢献できる人材になってもらいたい、

あ、でも、その前に本人の幸せ…

 

親の期待は、いつでも勝手です。

 

池谷先生のお話のメインは、ご専門の脳のお話が満載で、それが高校生にとてもわかりやすく、大変面白い内容でしたので、改めてご紹介させていただきますね。

    

今回もお読みくださり、ありがとうございました。

 

娘の成長の記録は、時計通りに綴っています。どうぞ いちひめ もご覧ください。

 

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