これは、2018年度の東大入試問題。
国語 と 外国語 の表紙
です。
東大の「と」の字も書いてありません。
後ろのページはどの科目も数ページが白紙のページ。
(ちなみに、センター試験の問題冊子には「セ」の字もありません)
東大の国語は、文系も理系も入試で一番最初に実施され、
東大の英語は、文系も理系も入試で一番最後に実施される科目です。
国語の時、英語の時、どんな気持ちでこの冊子と対面したのかなぁ。。。
それは、おいておきまして…
今回は、2019年から東大が前期日程の試験の出題意図の公表を始めた、という話題です。
出題意図の公表は2019年から
2019年の理系数学第一問は、計算問題でした。これは史上初のことだそうです。
…日本の最難関として君臨し続けるその入試問題。中でも数学の入試問題には、脈々と流れる伝統と、世界に誇るべき美しさがあります。大学入試時点における数学のレベルでは、ハーバードをはじめとする世界の名だたる名門大学を遥かに凌駕しています。
今年はそうして常に最高峰の問題を生み出し続けてきた東京大学の歴史上、大きな出来事がありました。理系二次試験の大問6題のうちの1題で、その史上初めて、純粋な「計算問題」が出題されたのです。
これは、近年易化している印象を持たれている東大入試数学の象徴ともいえる出来事であり、そこには、入試を取り巻く様々な背景や、出題者の葛藤を見てとれます。…
川島 慶氏 史上初。東大が入試に「計算問題」を出した理由。世界最高峰の… より引用
そんな流れの中での出題意図公表。
それまではどうだったかというと、問題のみの公表でした。
それが、2019年は
- 数学・理科・地理歴史の問題
- 英語リスニング問題の書き起こし
- 全科目の出題意図(著作権処理の都合上、発表時期は異なります)
- 一部の問題の解答(科目により、記号選択問題・用語問題などに限られます)
が、WEBにて公表されました。時期は3月後半から4月にかけて。
→ 東京大学WEBサイト これまでの試験問題及び解答等の公表 (過去3年分の問題と、前年度の解答および出題意図を見ることができます)
出題意図の公表は、科目ごとや設問ごとなどに分けて行われています。
ちなみに、入試の過去問は、東京大学広報センターにて閲覧することができます
「論理的表現」を強調
問題分析はできないので、代わりに、各科目の出題意図の文章に出てきた言葉を数えてみたところ
論理的/簡潔/筋道立てて | 17 回 |
総合力 | 12 回 |
基礎的・基本的 | 12 回 |
本質 | 5 回 |
柔軟な思考 | 4 回 |
発展・応用 | 4 回 |
(はすちゃん調べ。カテゴリー分けは、似たような表現を含みます)
のようになりました。
番外編としては、数学だけで2回も「高等学校学習指導要領」と明記されていること。
また、興味深かったのは、
社会科目(日本史・世界史・地理)のいずれにも論理的という言葉が用いられ、
理科科目(物理・化学・生物・地学)のいずれにも発展・応用・柔軟という言葉が用いられていたことです。
この出題意図の公表までも、いろいろな葛藤があったのかもしれませんね。
減点されない答案をかく
さて、「論理的」をここまで強調されるのにはきっと隠された意図があるだろうと勘ぐったワタシ、子どもたちの残した資料を見ていたら、こんなのが出てきました。
題して、
減点される答案の典型例
- 証明問題なのに日本語がほとんどない/あるいは反対に、極端に数式が少ない
- 用語・記号の使い方に無頓着
- 読めない・書きなぐり、乱暴な展開
- 日本語でごまかそうとする答案(根拠が薄い)
- 数学的に明らかな誤りを意図的にごまかす(例:必要条件と十分条件を間違えている)
論理が通っていない答案は減点の格好のカモですから、書けば書くほど減点されてしまいます。
論理ではないけれど、子どもたちの答案でも、英作文の単語の綴りミスで、大きく減点されていた時もあったなぁ(それこそ、文法は合っているのに)
1年に2~3回受ける、高校内の実力テストの辛口講評にも
- 日本語になっていない
- 不正確なことを堂々と書く
- ペーパーテストを面接に置き換えたら、挨拶なしで言いたいことだけ言って出ていくような自己中な答案
- 採点者にみてもらいたい、評価して欲しい、という気持ちが伝わってこない
などなど、これでもかというほど各先生からお小言をもらっていました。
論理の通っていない解答を書く人が最近多くなった、というような記述も、WEBでちらほら見かけます。
大学生になると模試採点のアルバイトをする人もいて、ちょっとお話を聞いたことがあるのですが、いくら大学生さんでも(でも、なんて表現してごめんなさい)、この答案を書いた人がどのくらい本質を理解して書いているか(理解しないで書いているか)はすぐにわかるそうです。
また、
全体的な流れは正しいのに狙った点がつかない時は、過不足のない論理的な展開で解答をしているか、チェックしてみた方がいいですよ。
と教えてくれました。
息子も当時、返された模試の数学の採点を見て、「筋は正しいのに…えーーーーこれ、こんなに減点する?」みたいなこと、言ってました。
今彼が見たらツッコミどころ満載の解答だったのかなぁ。
語りたいことだけ語って、読み手に届いてない…って、ん?
(ワタシも気をつけます)
娘の成長の記録は、時計どおりに綴っています。どうぞ いちひめ もご覧ください。
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