前回書きました、東大実戦模試と東大即応オープンですが、受験するとかなり丁寧な解説および分析冊子がついてきます。
この中でもワタシが注目していた一つが、現役生と高卒生に分けた得点分布です。
現役生と高卒生とでは、こんなに伸びが違う
こちらの画像は、2017/2018 第1回・第2回東大入試実戦模試の解説冊子がら引用させていただいた、現役生と高卒生の得点分布のグラフです。
第一回と第二回の科目別の得点分布。まずは文系。
そしてこちらが理系
いずれも、実線が現役生・破線が高卒生です(見にくくてすみません)。
文系・理系とも右側3科目は英数国、左側は文系ー日本史/世界史/地理、理系ー物理/化学/生物/地学 です
第1回では、英数国は現役・高卒とも同じような分布、理科と社会は高卒の方が高得点を取っています。
それが第2回になると、英数国は同じような分布ですが、理科と社会は現役が高卒に迫ってきています。
この調子で第2回以降の3か月間に現役が伸び続けると、現役生が高卒生を上回っているのかもしれません。
【現役生/高卒生の平均点】
第1回平均点 | 第2回平均点 | 伸び | |
文系 現役生 | 157.8 | 192.6 | 122% |
文系 高卒生 | 170.5 | 195.5 | 115% |
理系 現役生 | 136.3 | 162.8 | 119% |
理系 高卒生 | 149.6 | 168.8 | 112% |
(人数比は、ざっくりと 現役生:高卒生=2:1)
つまり、高3で理科あるいは社会の勉強に時間が取れると
現役合格の可能性が上がる
ということですね。
逆算すると、
高2終了時点で、英数国がある程度仕上がっていること
といえると思います。
実はこれは、東大に限らず国立大学医学部でも同様のことが言えて、上の子は医学部志望だったのですが、やはり、
高2終了時点で、英数国がある程度仕上がっていること
が現役合格のカギになりました(大事なことなので二回書いちゃいました)。
じゃあ、ある程度、ってどの程度?というと、
高2の模試でA判定が出る程度
ということかなと思います。
前回書きましたように、高2までの模試は判定はあまりあてにならないのですが、英数国がどの程度仕上がっているかを測るにはとてもよい指針だと思います。
一般的に、
高3の受験勉強のスタートが遅くて、成績は右肩上がりだけど時間切れになってしまった人は浪人してからも伸びる、
一方、高3終了時点である程度成績の伸びが停まっている人は、浪人しても伸びがあまり期待できない、と言われています。
東大合格者のセンター試験の得点も、現役時から50点以上伸ばす人もいれば、ほとんど変わらない(少し下げた)人も。
さて、ここからは理系の話に戻るのですが、どうやって高2終了時点で英数国をある程度仕上げるか、です。
そこで大切になってくるのが学校のカリキュラムです。
我が子達が通った高校は、高2終了時点で数3をすべて学ぶカリキュラムでした。
よく言われるのが中高一貫校は数学の先取りをするので受験に有利、ということですが、今や地方の公立高校でもトップ高レベルになるとそのくらいのスピード学習をしています。
なぜできるかというと、結局は
高校数学は、数3までを2年間で習得できる程度のボリュームだから
ということに尽きると思います(もちろん個人差はあります)。
と、暗に中高一貫校の中学数学~の先取り学習を否定するような書き方をしてしまいましたが、、、実際のところ、ちょっとそう思っています。
灘や開成は、中学の数学を1年間で終えるそうです。
確かに中学の数学は、東大を狙えるレベルの生徒さんなら1年で十分習得できる量であるとワタシも思います。
でもそれは灘や開成生だからできることで、なんでも早く、はかえって良くない結果も生み出します。
同じ中高一貫校といっても、実際は中学校数学を2年で終える学校・2年半で終える学校などさまざまです。
ワタシのきいた話のひとつに、どのくらいの先取りでは、高校入学者に追いつかれてしまうか、というのがあったのですが、少なくとも、
偏差値中程度の中高一貫校の場合、中学数学を2年と1学期で終え、中3の2学期から高校数学を始めるカリキュラムでは、
我が子達が通った公立高校のカリキュラムは高1の秋に追いつき、追い越していました。
一度追いつかれると後は離されるだけです。
また、中学数学を2年で終え、中3春から数1を勉強した中より上の中高一貫校に通われたお子さんによると、高3になってセンター試験の対策を始めたところ、
数1を結構忘れていた
と言っていました。
そんなわけで、一概に中高一貫だから中学数学を先取り、それが大学受験に有利、とは全く言えないし、
むしろ、どんな偏差値の生徒さんに対して、どんなカリキュラムを行うのか、その結果その学校の進学実績はどうなのか、は知っておくべきだと思います。
最近、日比谷高校からも東大合格者が増えているというのは、まさに、高校入学後から高校数学を学んでも間に合う、ということの裏付けだと思いますし、地方公立高校でも同様のことが言えると考えています。
日比谷に続けとばかりに大躍進している公立高校が他にもあります。
2022年入試で、横浜翠嵐高校は東大合格者52人を出しました。伝統校ですから、もともとは毎年東大に10人程度合格していたのが、周辺の私立におされて、2007年は1人だったそうです。
そこから教育方針を変えたらこの結果。素晴らしいですね。(2022.03.19追記)
地方のように、選択肢がない地域はかえって楽なのかも。
選択肢がたくさんある地域にお住まいなら、ぜひそこも気にしてみてください。
娘の成長の記録は、時計どおりに綴っています。どうぞ いちひめ もご覧ください。
コメント