読書感想文というと、夏休みの定番の宿題であり、
かつ
やる意味あるの?
めんどう
みたいな、「読書感想文の感想」を持っている人が少なくないようですが
まぁね~、小さいときしか経験できないことですので、そこはぜひ、避けないで通ってほしい道でもあります。
それに、親世代も読書感想文を書かされて育っていますので
「ほんっとめんどうだよね」の親子共有もできるということで…
今回は、娘と息子の両方の経験から書かせていただきます。
いつからか、読書感想文はフリースタイルに変わっていた
不肖ワタクシが小さかった頃の読書感想文といえば、テンプレ的に
- 起承転結を守る
- あらすじを入れ込む
- あらすじに対する自分の感想をいくつか書く
- 影響を受けた部分を、自分の未来への希望と絡めて書く
を守って書けばOKで、実際それで都道府県レベルの入賞をいただくことができていました。
ただ、我が子たちの時代になると、都道府県の入賞作品をみてもそのような書き方で入賞している作品はなくて、
もしなんらかの入賞を狙うのであれば、このスタイルから外れた作品を書く必要があります。
もちろん、今でも従来のスタイルを守って書くのもありですが、それでも時間はかかりますし
せっかく夏休みの貴重な時間をかけるなら、何らかの成功体験につながる文章を書こうよ
というのが我が家の思いでした。
青少年読書感想文全国コンクール
読書感想文で賞を狙うなら、全国につながっているコンクールに出品するのがいいと思います。
そのなかで一番おすすめなのが青少年読書感想文全国コンクールです。
その最大の理由は、審査員が学校の先生が中心だからです。
審査基準がブレにくいだろう
という予想です。
また、全国までつながっていて、後援が内閣府や文部科学省だからというのも強いです。主催者や後援がしっかりしているということは、選ぶ側も根拠をもって選んでくれるでしょうし、逆に選ばれなかったとしても、根拠があるはずです。
毎年トライするのですから、そんな「信用性の高い」コンクールであることも重要です。

このマークがシンボルマークです。課題図書にもこのマークの帯がついています。
見覚えのある方もいらっしゃるのでは。
青少年読書感想文全国コンクールは、国内の小学生~高校生対象の最も規模の大きなコンクールで、夏休みの宿題として全国の学校で出されます。
小学生だと、低学年・中学年・高学年に分かれています。選考のタイムラインはこんな感じです
- 春ごろ課題図書の発表
カテゴリー別に課題図書が発表されます。この課題図書に選ばれることは作家の方にとっても大変名誉なことだそうです
- 夏休み夏休みの宿題の定番
- 夏休み明けすぐに校内選考→市町村レベルのコンクールへ出品
- 時期不明市町村レベルの審査から都道府県審査へ
- 10月ごろ市町村で入選した場合は学校に賞状が届きます
- 12月都道府県選考結果がわかる
各カテゴリ別に第一位作品は中央審査(全国)へ出品
都道府県表彰(時期は都道府県によって違うようです)
- 1月中央審査の結果の通知
中央審査に出品されたら、全員何らかの賞をいただくことができます
毎日新聞社主催なので、上位入賞の場合は、毎日新聞の記事として入賞者本人のコメントが掲載されます
上位入賞者は表彰式へ招待されます
- 2月青少年読書感想文全国コンクール 表彰式
表彰式当日の毎日新聞には、中央審査に進んだ生徒さんの学校名や氏名が掲載されるとともに、上位者の作品も掲載されます
それなりに盛大な表彰式です
夏休み明けすぐに学校代表作品が地域コンクール(市町村など)に出品され
我が子たちの場合は、学校代表になったよ、と、先生から教えていただいていたようです。
学校代表枠は学校の児童数で違うのかもしれませんが、各学年のクラス数くらいじゃないかと感じました。
地域コンクールに出品されること=何らかの賞をいただく だったので、その内容によって都道府県に進んだかどうかがわかります。
我が子たちの場合は、各カテゴリ別に数点ずつの作品が都道府県コンクールに進んでいたような気がします。
秋の終わりごろに都道府県代表作品が決まって、中央審査会(=全国コンクール)に進みます。
このときも、都道府県審査に進む=なんらかの賞をいただける でしたので、都道府県で代表になったかどうかがわかります。
こちらは、各カテゴリの1位作品が全国に出品されていたような気がします。
全国コンクールの結果は1月に決まって、学校に対して結果の通知があります。
2月に表彰式が行われます。
上位へ行けば、同じ作品で何度も賞状をいただくことができます。
我が家の戦略
戦略、というほどではないですが、せっかく夏休みの貴重な時間を使って書くのですから
せめて学校代表くらいはとらせたい
と思っていました。
1年に一度しかチャンスがないなかで、我が子二人分を毎年少しずつ積み上げた我が家的ノウハウを披露させていただきますと、
- 過去の入賞作品を読んで、書き方の傾向をつかむ
- 本選びが最も重要
- 「気づき」に子どもらしい新規性を盛り込む
- 本の内容に添った自分の気持ちの具体的な変化を押さえる
- あらすじは書かない
- 起承転結ではなく、承・転(転・承)・結で書く
- 字数配分をあらかじめしておく
- 日本語の使い方やの間違い直しは親が介入してよい
- できたと思ってから数回見直しをする
- 清書は丁寧に
たくさんありますね…
過去の入賞作品を読んで、傾向をつかむ
全国コンクールの前年の入賞作品は、 青少年読書感想文全国コンクール のサイトに掲載されています。
ただ、各作品があまりにも立派すぎて、とても真似はできません。
そこで、我が子の県では都道府県入賞者の作品集というのがありまして(毎年冬に購入するかどうかの案内が学校から配られていました)、それを買って参考にしていました。
都道府県レベルならいつか届くな、っていう作品もちらほらあったんですよ。

はすちゃん、せめて学校代表くらいは…って書いた舌の根も乾かないうちにこういうの買ってたんだね

えへへ
本選びが最も重要
青少年読書感想文全国コンクールでは、本を課題図書か自由図書から選ぶことができます。
でまぁ、自由図書といっても何を選べばよいかわからないので、最初は課題図書の中から選びました。
課題図書は、「物語」「科学もの」「異文化や歴史に触れる」などのテーマ別に選ばれていて、学年が変わってもこれらのテーマは変わりませんから、我が子がどのジャンルに興味をより持っているかで、どの本にするかを選びます。
ワタクシ、最初は我が子が好きそうなのを複数冊揃えて(=買って)夏休みに臨みましたが、これはやりすぎました。わざわざ買わなくても、公式サイトの課題図書のあらすじや課題図書おすすめチャートなどのページを利用して決めればOKです。
課題図書は近くの図書館でも借りられるのですが、予約がいっぱいで借りられた試しはありません。
そして、「これ」という本と出会ったときは、課題図書ではなく、自由図書に応募しました。
ワタクシの体感的には、
課題図書はライバルが多い(=選ばれにくい)、自由図書は選書を間違えると箸にも棒にもかからない
という感じです。
小学校高学年~中学生というと、お誕生日やクリスマスプレゼントに図書券や本そのものを選ぶことが増えてきたので、選書の際に少し意識はしていました。
気づきに子どもらしい新規性を盛り込む
読書感想文の文中には、何か新しい「自分なりの気づき」を盛り込むことが必要です。
審査するのは基本的には学校の先生方ですので、作品を読んだ先生が
これは新しい
これは自分では思いつかない気づきだ
と思ってくれれば選んでもらえます。
先生の気持ちはわかりませんが、同じ大人ですので、大人の気持ちなら親でもわかるということで、
要は、保護者であるお父様やお母さまが新しい気づきだなと思うことができるような気づきを見つければOKです。
それって、審査する大人がいいと思うかどうかじゃん、と言われればそれまでなんですけど、子どもらしい気づきって案外盲点みたいです。
じゃあ、具体的にどんな気づきが新しいの?
といいますと、例えば
本の中の一部分についての新しい解釈
とか
自分の経験と照らし合わせた新しい気づき
です。
そういう点では、小説より科学ものの方が書きやすい(=大人でも知らないことがたくさん書いてある)ということになり
我が家では、小学校中学年以上は、科学ものばかりになりました。
本の内容に添った自分の気持ちの具体的な変化を押さえる
普通の読書なら、どんなジャンルでも、あー面白かった、だけですみますし、わからない表現があってもこだわって調べることもなく、とにかくたくさん読むことを積み上げるだけでいいのですが
読書感想文に必ず求められるのは「読み手の気持ちの変化」を具体的に書かなければいけない
ということです。
シンプルに言いかえると
「知らなかった」→「知った」
「Aだと思っていた」→「Bだった」
をいくつか押さえながら読み進めるといいです。
さらに、この二つを混ぜてもいいし、「AもBもありだった」などの変化をつけるのもありです。
この気持ちの変化は制限字数にもよりますが、2つ~3つくらい準備できると書きやすいです。
と書きつつ、次の記事では「ここが最後まで分からなかった」という記述でもよい、について書かせていただいています
実は、2番目の本選びと、この4番目の具体的な気持ちの変化については、本を読まなくてもざっくりならできます。
あらすじや題名から想像できる本の内容から、おそらくこんな感想を持つだろうという想定をしておき、
実際に読んで「予想通りだった」なら、その通り書けばいいし、
「想定外だった」なら、どのように想定外だったかも書けるからです。
大切なのは、この気持ちの変化の中に、2番目の「新規性」をうまく盛り込むことです。
あらすじは書かない
あらすじを書かない理由はたった一つ。
審査する先生は、あらすじを知っているからです。
仮に自由図書で、審査員があらすじを知らないまま審査することがあったとしても、感想文の読み手がその本を読んでみたくなるような書き方をすればよいだけで、
わざわざ親切にあらすじを書くことに字数を使う必要はなくて、
本文では「~~~~~」とあるが、自分は「=====」と思う
という形をいきなり出してかまいません。
起承転結ではなく、承・転(転・承)・結で書く
論説文ならば求められる「起承転結」ですが、
読書感想文に客観性は必要なく、あくまで「心の中を言葉に表現する文章」扱いと考えて、
敢えて「起」は抜いて、承・転 (転・承) ・結のような構成にしました。
書き出しは審査員の気持ちをつかむような書き出しがいいです。
例えば、
「メロスは激怒した。」
みたいなのでもいいと思います。何のこと?どうした?って思わせればOK。
あるいは、最初に「結」で伏線を回収できるような書き出しでもいいです。次の文を読みたいなって思わせる書き出しを工夫させました。
書き出しに困ったときは、字数少なめでこの本を選んだ理由を「起」として書いたときもありました。
それに対して、
「結」は書く前から決まっています。
書き出しの伏線を回収するような内容とか、明日への希望など、読み手がホッとするような終わり方にしました。ここは毎回定番です。
この辺は、過去の入賞作品がとても参考になります。
字数配分が偏らないように
字数制限は、
- 小学校低学年の部(1、2年生)本文 800字以内
- 小学校中学年の部(3、4年生)本文1,200字以内
- 小学校高学年の部(5、6年生)本文1,200字以内
と決まっています。
我が家の場合、書き残しの空白は1~2行までとしていました。
また、「結」は、本文1,200字ならば、最低200字はあった方がいいかな、とか、気づきを二つ書くならどちらかに大きく字数が偏らないように、について注意しました。
これは、中央審査の講評の中に「字数配分が素晴らしい」と書いていた審査員の方がいらしたからです。
たぶん審査基準の一つなのだと思います。
日本語の使い方やの間違い直しは親が介入してよい
あきらかに言葉として通じにくい表現 ー主語が曖昧とか言葉の使い方が間違っているなどー や、漢字の間違いについては、親であるワタクシが直しました。
これは、学校代表になった他の小学校のお友だちが、担任の先生から字の間違いを直すように指導された、とか、地域から県へ出品になった際に、先生の助言をもとに文を直した、という話をきいたことが根拠です。
先生が直してよいなら、提出前に親がみて、あきらかな間違いを直すのと一緒だなと思ったので。
できたと思ってから数回見直しをする
できたー完璧!と思っても、時間をおいて読んでみたらなんだか流れがとんでいる、とか、表現があいまい、などの修正したい点が出てくるものです。
お父様お母さまに読んでもらう、とか、次の日にもう一度読み直すなどしてブラッシュアップしていくと、良い作品になります。
実はこの作業、この先進む中学高校で、採点者にわかる答案を書く ということにつながっていまして、
面倒でもこの作業を小学生のうちからやったことが、回りまわって後々受験勉強においての時間短縮になったと感じています。
清書は丁寧に
最後は清書です。我が家は早くからパソコンでローマ字入力の練習をしていたので、途中まではパソコンで書き、最後の清書だけは自筆で丁寧に書かせました。
一度出品されると作品を返してもらうことがなかったので、どの時点で活字審査になったのか、最後まで自筆作品のコピーで審査されたのかはわかりませんが、
丁寧に書いてあることは、少なくとも学校代表になるためには印象がいいんじゃないかな、と考えていました。
ここまでが、読書感想文を書くために我が家でポイントとしたことです。
長くなってすみません。
次の記事では、具体的にやった我が家での取り組みや選考結果について書かせていただいています。
よろしければ、続いて次の記事もご覧ください。
息子の成長の記録は、時計の逆回転で綴っています。どうぞ にたろう もご覧ください。
コメント