今回も、今に戻って書かせていただくことをお許しくださいませ。
おかげさまで、我が娘 いちひめ が、国立大学医学部医学科を先月卒業しまして、晴れて
医師になりました
やっと就職だ
長かった
いえ、彼女の本当の人生はこれから。
6年間のあゆみ
ワタクシもやっと、医学部6年間の流れを把握しました。ざっくりとこんな感じ。
- 大学合格大学生になる
国立医学部っておぼっちゃまおじょうちゃまが多いの?親は開業医さんで、みんなフェラーリに乗ってるの?
→ フェラーリはゼロ。外車少し。開業医のお家もそんなに多くなく、みんな小さめ国産車だし中古車も多し。軽も。
- 大学1年ごろゆるめに大学生活が始まる
この一年は一般教養の第2外国語とか文系っぽい科目もあり、他の学部の人と話が合う一年でした
- 大学2年ごろ徐々にきつくなっていく
大学1年の後半からは専門科目が始まります。神経って全部名前がついてるの⁉骨も⁉そして解剖学もきつそう…名前、全部覚えるんだ…
- 大学3年ごろきついのに慣れていく
出席重視+すべて必修、サークルも幹部となり忙しそう。大学生活いろいろ楽しんで!
基礎研究もかじらせてもらえます。娘が参加させていただいた研究が論文になって、後ろの方に名前を載せていただきました。
- 大学4年ごろ科別の試験とスチューデントドクター取得へ
消化器、循環器、呼吸器、…いったいいくつ試験を受けるの?というほど1年じゅう朝から夕方まで講義そして試験。ひとつでも落としたらアウト。
その最後にCBT方式の共用試験を受けます。これに合格しないと病院実習に進めない。この共用試験の結果を就職試験の時に提出しないといけない病院も…
晴れて合格すると、看護師さんの戴帽式みたいな認証式が。おめでとう!
- 大学5年ごろ病院実習と病院見学
大学4年後半から病院実習が始まっています。学生のやらせてもらえる範囲のことは、目いっぱいやらされます。
科によって雰囲気が違う、集合・解散時間が違う、ルールもちょっとずつ違う…実務実践実務実践…
病院見学は、将来進みたい候補の病院を訪問させてもらいます。もちろん、白衣も聴診器も持参で。インターンみたいなもの。
「ボクも〇〇県出身だよ~、◇◇大出身だよ~、わたしも▽▽高校出身だよ~、じゃ、☆☆先生とか知ってる?」と、先輩ドクターさん方がとても優しく声をかけて下さいます。
中には「僕も※※中学卒業だよ~」(からの灘高、みたいな…)
ここで、実は医師のネットワークは案外拡がりがあり、井の中の蛙であっても、その地域でどこの学校を卒業してきたかは案外大切な要素であることを知ります。
- 大学6年ごろ病院実習と面接と卒業試験と国家試験と
外部の提携病院にも実習に行きます。コロナ禍で中止になってしまったものもありましたが。
6月ごろから病院面接が始まります。「貴院を志望しております」。マッチング上位に名前書いてくださいのお願いタイム。これもコロナ禍のためZOOM面接の病院が多数ありました。
同時に卒業試験が秋まで続きます。一つでも落としたらアウトの生活がまだまだ続きますが、病院実習の経験分だけ4年生のときより勉強しやすかったとのこと。
10月、卒業後の研修病院が決まりました(医師臨床研修マッチング)。当たり前ですが、病院が決まっても、卒業試験や国家試験に不合格なら、就職もアウト。最後まで気が抜けないと改めて思う日々です。
秋に卒業試験を受け終え卒業が決まると、例年なら、ゆるり海外旅行期間だったのでしょうが、コロナ禍なのでお遊び要素ゼロの大学生活最後の数か月を過ごします。やったことはもちろん、国家試験の勉強。
国家試験は2月です。
全400問を、まるまる二日間かけて解答します。勉強量は軽く天井に届く、と言っていました。
- 大学卒業卒業式と国家試験結果
国家試験合格の発表日は3月半ばです。いやーよかった、合格して。
長い6年間でした。卒業おめでとう!
6年間を振り返って
振り返り、って、親のワタシが何を振り返るの?って感じですが、
やはり、一緒に住んでいようと離れて住んでいようと、学生の間はお金もかかりますし、
無事に卒業して働き始めるまでは、やはり親として目をかけるのが義務だと思っていたので。
医学部って、必ずしも年度末が切れ目ではありません。前期後期制でもなく、試験もまとまって行われません。
夏休みが短い、学年の途中にCBT試験がある、病院実習も学年をまたいで行われる…
そして、1科目でも単位を落とすと、宙ぶらりん留年生になってしまいます。
とにかく、まずは絶対留年しないこと!学業最優先。
留年、こわいです。でも、結局1学年で10名くらいの人がどこかの学年で留年しました。
そして、上からも10名くらいの人が留年で「降りて」くるので、卒業生の人数としてはだいたい定員くらいでした。
ある私立大学の医学部は1学年30名くらい留年するそうです。
再試なし一発不合格留年の大学もあれば、再試がある大学もあるらしいのですが、なんと1科目2万円の受験料をとられるそうです。そうでもしないと、みんな再試になっちゃうからだと…
あーでも、私立の医学部に行っている人とは、お金の感覚も医師という職業への感覚もちょっと違うのは確か…
学内の試験問題はすべて回収されるので、学生は毎回手分けをして「再現問題」「再現答案」を次の学年のために引継ぎます。素晴らしいシステム!
ワタシ「それって、受けた問題を覚えるってこと?すごい量じゃない?」
娘「そうそう。手分けするけどね」
もちろん過去問がそのまま翌年も出題されるとは限りませんが…今でこそ無料のサーバーを利用して引き継いでいますが、それ以前は紙のコピーだけでもすごい手間だったでしょうね…
卒業試験だけは立派な冊子にして、次の学年に「売られて」いきます。
注:前年に、同じ値段で上の学年の分を買わせていただいております。
部外者がいちいちびっくりするなとまた言われそうですが、この冊子だけでも、何冊もありました。
また、4年生の共用試験(CBT)~病院実習~国家試験対策には、大学受験でいう東進みたいなオンライン専門塾がいくつかありまして、そこを利用して勉強します。
よく、東大は大学で国試対策をしてくれない、と言いますが、娘の通った大学も特別な対策はしてもらっていません。
結局みなさん、どれかの専門塾のオンライン授業や模試を受けて臨んでいると思います。
この世界にも理三卒などの名物講師がいるみたいです。医学書や医学生向けのコンテンツは足元見られてるので、どれも高額…
勉強時間はざっと、5年生が1日2~3時間、6年生の春から夏までは1日5~6時間、夏以降は1日10時間以上のペースで、
要するに常に勉強していました。
医師国家試験には「禁忌問題」というのがあります。
禁忌問題は、既定の数(この年は3問)間違えたら、
たとえ総合点が合格点ボーダーラインを上回っていても不合格です。
厳しい…
↓こんな感じで成績表にも記載があります↓
MedicMediaのこの年の講評によりますと
- 禁忌肢採点問題は国試の全400問中約10問
- 禁忌肢を1問でも踏んだ人はこの年の国試受験者全体の約14%、禁忌肢落ちした人は0人
だそうです
そして、
国試受験直後に自己採点して、専門塾にデータ登録、合格点ボーダーを返してもらいます。
なんか、大学受験でも同じようなことしたね…
医師国家試験合格率は、およそ9割。つまりほとんどの人が合格です。受験者数は1万人ですから、下位1000人に入らなければ合格です。
なぜ、そんなに合格率が高いかといいますと、
試験を実施している厚生労働省が、約9割の人を合格させるようにボーダーを決めているからなのだそうです。
ちなみに2021年の試験は、合格者平均点が上がり、合格率もちょっと上がりました。
おそらく、コロナ禍でみなさんたくさん勉強したのでしょうね…
現役生の国試合格率は9割を超えます、既卒者は7割を切る大学もたくさんあります。つまり、医師国家試験は
一発勝負で合格しないと、後は、難しくなってくる試験です。
めっちゃ素人的考え方だけど、国試を落ちると、翌年度また病院面接から始めるわけよね?国試浪人の人より現役生の方をマッチング上位にする病院に志望しちゃうと不利になるね…
マッチングリストは病院側も自由に決められるから、そういうこともあるかもね。
じゃあいよいよ行く病院がない場合は、国家資格だけ取ってフリーランスの医師とかになれるの?
それはダメ。研修を受けないと医師として活動できない。でも、全ての研修病院の定員合計は国試合格者より多いから、全国の「どこか」で研修を受けることはできるよ。
国試結果判明後も「空き」が出るから、最終的に決まるのは3月だね。
やっぱり一発合格するのが一番だね。
ちなみにですね、医師等資格確認検索 という厚生労働省が管理しているサイトがありまして、こちらで確認することができます。
就職はどこに?
こちら でも触れましたが、初期研修ができる病院は全国でも決まっていますので、その中から選んで希望を出すことができます(各地区の大きな病院ばかりです)。
娘の場合、大学進学時は県内に残ったので、
正直、当時のワタシは、え?県外に出ないの?お友だちみんな県外に行くよって思ってました
いつ言い出すかな…と思っていましたが、
弟である息子が一足先に県外に出て一人暮らしを始めたことで、俄然自分も一人暮らしをしたくなったらしく、
就職では、県外に出ることを選びました。
どのタイミングで県外に出すか
そんなわけで、娘は大学まで親元にいて、就職で旅立っていったわけですが、
お子さんを医学部に行かせるご家庭の一般的なお考えはちょっと違いまして、
- 地元で育ち、そのまま地元で医師になる
- 地元で育ち、大学卒業後県外で医師になる
- 大学でいったん県外大学に行き、卒業後地元の病院に戻る
- 大学から県外で、そのまま県外で医師になる
のパターンのうち、1と3が圧倒的に多いです。
そしてそれは、大学入学時点でほぼ保護者の意向として決められていて、お子さんもそれに従っていることが多いです。
医学部以外の地方出身者で東大や京大へ進学した人は、地方本社のどうしても入社したい大企業があるなどの場合を除き、大学卒業後に地元に戻って就職するということは、ほとんどありませんよね。
早慶でもそうかな…
それに比べて、医師は地元に戻る、あるいは残る率がとても高いです。
さらに言えば、数年後いずれ戻ってくる人も結構いるみたいです。
我が家は地元に残らせる意向がなかったので自由にさせちゃいましたが、
お友だちを見ていると、きっちり地元就職している人が多いですね。
また、中には
「絶対子どもを地元に就職させたかったから、大学は県外へ、卒業後は地元の病院へ戻ってきなさいという約束で県外の医学部に進学させた。」
とおっしゃるお母さまもいらっしゃいました。
なるほどね~。それって、高校時代からきちんと計画たててたってことか。。。
旧帝医卒で、地元に帰ってきたお友だちも…
(注 初期研修は2年間。その後はまた新たに勤務先を県外に決めることはできます)
6年間県外にいると、初期研修は地元に戻るのも楽しいのかもしれませんね。
(ヒント:地方病院の方がまぁまぁお給料が高いです)
確かに、地方は地元意識も強いので、大学は違っていても高校が同じ先輩後輩のつながりなどが結構大事だったりしますし。
大学の医局に入る場合は出身大学が大事でしょうが、そうでなければ、出身地で恩返し、っていう人も多いのかなと感じました。
これについては、また2年後の皆さんの動向がわかったらお知らせしますね
そして娘もおかげさまで、4月から初期研修医の生活が始まりました!
それぞれの新しい道、新しい人生。
すべての新人研修医さんたちがたくましく育ちますように!
今回もお読みくださいましてありがとうございました。
息子の成長の記録は、時計の逆回転で綴っています。どうぞ にたろう もご覧ください。
コメント